夏の降雨 気象④

気象学勉強会④ーーー夏の降雨をテーマにいろいろ用語を紹介ーーー
停滞前線
初夏は梅雨でじめじめとした季節ですが天気図には上のような記号がよく見られます。
停滞前線といって停滞してずっと雨をもたらす前線です。たとえば梅雨前線。ほかには秋雨前線など夏の終わりにかけてもまたみられる前線ですね。
記号の意味は温暖な大気と寒冷な大気のせめぎあいによる停滞を表し、線の両側にマークがポコポコと出ている感じになるかと。

停滞といえば天気図によくある ALMOST STNRですね ALMOST STATIONARYつまりほとんど停滞って意味です。太平洋高気圧がALMOSTSTNR
英語で書かれてあるからわかりにくい。。

ちなみに太平洋高気圧は赤道付近から上昇してそして北に進んで落ちてくるハドレー循環によって生まれています。だから地球規模の大きい高気圧になっています。小笠原っていう子分を持てるのもそのせいですね。

ところで、梅雨前線は太平洋高気圧とオホーツク海高気圧がせめぎあうからできるのですが、これがじつは簡単ではない。脱線しますが、前線は大抵温度のコントラストによって不安定になり雨を生み出す原理でできています。しかも都合の悪いことにこの太平洋高気圧は温暖湿潤でありオホーツク海高気圧も湿潤ながら寒冷なのです。だから結構な人がこの温度の違いによるものだと思っている。しかしこれは関東以東の部分での話でしかない。だってこの2つの気団は東にしかないでしょ?でも西日本も雨はふるし、九州では豪雨になってすごい被害が出ている。あれれ?ってなりますよね。


じつは関西方面の梅雨前線は性質が全く違うのです。詳しい話は抜きにして温度というより、湿度の境目つまり湿ったところと乾いたところの境目にあるのが関西の梅雨前線なのです。(等温位線がどーのこーのってやつです)湿度がエネルギーになる=簡単に言えば凝縮するときにエネルギー出すから、っていうだけなんですが。
ここを理解していない人めっちゃくっちゃ多いと思うんですよね~


元に戻して。
夏に入るとよくある台風。台風は低気圧ですが、その対称として高気圧が周囲にあります。例えば夏は小笠原高気圧という子分を持つ太平洋高気圧(学術的には亜熱帯高気圧のうちの一つとなります)がよく見られ、縁辺流という高気圧の周りをまわる風の流れもみられます。台風は風を産みます。

初夏や秋には四国へ南から吹き付ける風がやまじ風という局地風を産み、これが大雨になることも考えられます。
あるいは日本の南海に存在する台風は山陰地方に風をふきこみ、これが広戸風を産みます。もちろんこれらの風は台風だけでなく冬型の気圧配置で北寄りの風が吹いたりするときにもみることができるものですが。

予報についても少し。
予報はコンピューターがやってくれる時代ですが、その精密さは地球を何ブロックにわけて考えるかによります。5km四方で計算していくのがMSM-メソモデルーです。
GSM-全球モデルーは20kmのマスで計算するのでより精密です。
しかしメリットばかりではありません。4倍のマスということはMSMはGSMの16倍のマス目が存在し計算が16倍厳しいのです。しかも大気の移動を考えるにあたってますが小さいとより多く考えないといけない。
なんだか狐に包まれた気分でですが、CFL条件といってスケールの小さい気象まで計算に入れなくてはならなくなるのでどうしても寿命が小さくなりがちな小さなスケールの気象を考えるためにさらに4倍の計算量が必要なのです。

つまりですよ、1時間分の気象を予測するよ!っていったならばこれまではますが大きいから詳しいことは言えないし、おおざっぱに雨っぽいなとか言っとけばよかったわけです。
しかしいまや詳しいことが言えてしまう。その分もしっかり計算しないといけない。
曇りも時々見られるっぽいなとかまで言わないといけなくなる。そうしないと正しいことにならないんですね。もし曇りを無視するとそのマスの表現が嘘になりますから、周囲の予報までもがずれていくわけです。せっかく細かいマスにした意味がないじゃんってことです。

よって4倍のマスなら4^3=64倍も計算しなくてはならない。
しかも小さいと物理法則の支配が変化します。
GSMでは静力学が力のほとんどをしめていましたがMSMでは非静力学まで考えないといけない。しかしそれにより鉛直流が局地的にとても大きくなるという現象=すなわち局地的大雨を予想できるのです。静力学では名前の通り静かな現象を扱うので局地的な強い上昇流には対応できません。

うーん
難しいかな

ではでは






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